
質問
パリ子午線について解説してください。 現在の標準時子午線とどう違いますか。 |
解答
**パリ子午線**と現在の**グリニッジ子午線**(国際標準時子午線)の違いについて、歴史的背景と現在の状況を交えて説明します。 ### **パリ子午線とは** **位置**: パリ子午線は、パリ天文台(フランス国立天文台)の真上を通る経度0度の子午線を指します。 グリニッジ子午線(現在の標準時子午線)より**東に約2度20分14秒(約2.34度)**の位置です。 **歴史的意義**: パリ子午線は、フランス国内で地図作成や天文学的観測の基準線として使用されていました。 例えば、フランスの測地学的業績である「フランスの大地測量(Méridienne de France)」の基準となったほか、 フランス国内の測量・地理データはこの子午線を基準にしていました。 **メートル法との関係**: パリ子午線は、メートル法の誕生にも関わっています。 18世紀末、1メートルを「北極から赤道までの距離の1千万分の1」と定義する際、その測定基準としてパリ子午線の一部が用いられました。 ### **グリニッジ子午線との違い** #### **1. 地理的位置** パリ子午線: 東経約2.34度。 パリ天文台を基準とする。 グリニッジ子午線: 経度0度の基準線として国際的に採用。 ロンドン近郊のグリニッジ天文台を基準とする。 #### **2. 時間計測の基準** パリ子午線を基準にしていた頃、フランスの標準時は他国と一致しない場合が多かった。 1884年の**国際子午線会議**で、グリニッジ子午線が国際的な経度0度および標準時の基準として採択されました。 これにより、フランスも国際的な調和を優先してグリニッジ子午線を基準にすることになりました。 フランスは1901年までパリ子午線を標準時として使用していましたが、最終的に標準時をグリニッジ子午線基準(GMT)に移行しました。 #### **3. 現代の使用** パリ子午線は地理的・歴史的遺産として残されていますが、現在は国際基準としての役割を果たしていません。 フランスの標準時も、グリニッジ子午線を基準とした「協定世界時(UTC)」を元に設定されています。 ### **現代の遺産** **パリ子午線の記念碑**: パリ天文台やフランス国内のいくつかの地点には、パリ子午線の存在を記念するモニュメントが残されています。 例えば、パリでは「アラゴメダル」と呼ばれる銘板が、パリ子午線の経路上に設置されています。 **文化的な影響**: 小説や映画でも取り上げられ、パリ子午線はフランスの独自性や科学的貢献の象徴となっています。 ### **結論: パリ子午線と現在の標準時子午線の違い** 1. **役割の変化**: パリ子午線はかつてフランス国内の基準線として重要でしたが、現在は歴史的・地理的な遺産です。 グリニッジ子午線は国際的な標準子午線として使用されています。 2. **地理的な位置**: パリ子午線はグリニッジ子午線より東に約2.34度ずれており、経度0度ではありません。 3. **国際標準の採用**: 国際的な調和のため、フランスを含む世界のほとんどの国がグリニッジ子午線を採用しています。 |
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